この場所にあのキーがあったら便利なのに…。市販のキーボードを使っていると、どうしてこんなに使いにくい配列なのかと思うことがあります。「自作キーボード」という自分でキーボードを作ってしまう界隈が存在することも認知していましたが、まだ自分の技術スキルでは難しそうです。それならばいっそ、よく使うキーだけを独立できないか?と思い、実験と技術習得を兼ねて、1ボタンだけのキーボードを作ってみることにしました。

この記事は以下の4ページに分けてシリーズ化していきます。
(1) 準備編 ←いまここ
(2) プリント基板の製作編
(3) ファームウェアの作成編
(4) ケースとキーキャップの製作編

作ったきっかけ

私は元Apple信者です(宗派はUS配列)。Macのキーボード操作では⌘キーを多用します。⌘キーは親指で押すのでしっかりと指の位置を固定でき、コピーやペーストといった操作ができました。

ところがWindowsでは、左下にあるCtrlキーを小指で押します。

力が入りにくい小指でCtrlキーを抑えながら、左手を反時計回りにねじってキーを押すのって非合理的じゃありませんか?指の位置を考えたらCAPSキーの位置であるべきかと思います。US配列だとそうなのに。

親指はけっこう暇してる

親指ってスペースキーとその周辺のキーを押すときしか使わないので、結構使ってないんですよね。だったらスペースキーの下にCtrlキーがあったら便利そうです。これなら親指の位置はホームポジションからほぼ動かさずにコピペなどの操作ができます。

変換/無変換キーの割り当てを変更するというのも一つの方法ですが、将来的にはShiftやALTといったキーも親指で押したいと考えています。Ctrl+Shiftも割と多用しますからね。

将来的にはフルキーボードを作りたいと思ってますが、今回は自作キーボード製作の練習も兼ねて、シンプルな1ボタンだけのキーボードを作ることにしました。

設計方針

以下のような方針で製作することにします。
・Bluetoothによるワイヤレス接続
・コイン電池またはLi-Poバッテリーでの運用
・キーの高さは既存のキーボード以下に抑える

省電力設計

ワイヤレスで使用するため、電源は電池から取ることになります。常時USBから給電されているときとは異なり、消費電力を意識しなくてはなりません。私が愛用しているM5Stack製品はESP32を搭載していますが、消費電力が大きく、電池で運用するのには向いていません。そこで今回はSeeed Studioから販売されているXIAO nRF52840を採用することにしました。

XIAOシリーズは切手大のサイズで様々な種類のマイコンのバリュエーションがあります。日本では秋月電子スイッチサイエンスマルツ千石電商などで入手できます。値段は2200円くらいです。もっと激安で買いたい人はAliExpressの3個入りセットが超お得です。

電源はコイン電池CR2032

電源にはコイン電池のCR2032を選びました。CR2032は半径30mm、厚み2mmの電池で、XIAOと同じくらいのサイズです。公証容量も220mAhと大きさの割にはあり、入手もしやすく安価で、100円ショップでも簡単に手に入るのもメリットです。

XIAO nRF52840にはLiPoバッテリーの制御ICも搭載されているので、充電式にする方法も考えました。ダイソーで売ってたワイヤレスイヤホンから50mAhのLiPoバッテリーを取り出して、実際に充放電ができることも確認しました。

しかし安全性の懸念からこの方式は断念しました。これが原因で火事になったらたまったものではありませんし、容量を大きいものにすると意外とサイズが大きくなってしまいます。

まとめ

省電力性を考慮したマイコンの選定、省スペース性を考慮した電源の選定が終わりました。次はシリーズ第2回のプリント基板(PCB)に移ります。

1ボタンだけのワイヤレスキーボード
(1) 準備編 ←いまここ
(2) プリント基板の製作編
(3) ファームウェアの作成編
(4) ケースとキーキャップの製作編

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