高齢者の安否を確認する「高齢者見守りサービス」には様々なものがあります。定期的に人が訪問したり、電気やガス、照明などの使用状態で判定するもの、カメラを使うものなど様々です。しかし実際にこのようなサービスを導入するとなるとコストもかかり、また高齢者側の負担やプライバシーの問題にも配慮しなくてはなりません。

今回は実験段階なので、とにかく安く、身の回りにあるもので簡単にできないか考えてみました。まずは、どのように安否を確認するかの検討をします。

電気・ガス・水道による安否確認

電気の場合

一番一般的なのは電気だと思います。ただどこで見るかです。家全体の電気使用量なのか、特定の家電製品なのかで一長一短がでてきます。よくあるのが電気ポット。電気ポットはお茶を入れるときなど、1日何回も使用するので、使用頻度で安否確認ができます。しかし夏に熱いお茶を飲むでしょうか。飲む人もいるかもしれませんが、きっと冷たい麦茶の方がいいですよね。

また電源に電流センサーを入れただけでは、保温しているのかお湯を出したのかまで判断できません。となるとポットのボタンで判断しなくてはならないので、ポットの改造が必要になります。下に重量センサーを設置してお湯の重さで判定する方法はありそうですね。

照度センサーを使えば照明の使用状況がわかります。しかしその方法が有効なのは夜だけなので、ほかにも昼間の監視方法を組み合わせなくてはいけないと思います。

家全体の電気使用量で判断する方法もあります。普段の電気使用量と比較して、いつもと違う場合にアラートを出すというものです。配電盤に電流センサーを取り付けるだけで工事が簡単そうですが、どこまで精度の高い(誤判定も少ない)検知ができるのか、ちょっと気になるところです。

ガスの場合

台所や風呂でガスを使用するので、ガスの使用量を見れば安否確認ができそうです。ただ高齢になると風呂は毎日入らないでしょうし、もしかしたら食事は電子レンジで温めるだけかもしれません。ガスは使用頻度が低いので、倒れてから安否異常のアラートが出るまで長い期間を要するのではないかと思います。

水道の場合

私は水道が最も安否確認に適していると思います。水道は生活していくうえで必ず使用するもので、トイレ、食事、洗濯、など1日何回も使用します。なので、たとえば「昼間に3時間以上水の使用が無かったら安否異常アラートを出す」というような運用ができ、倒れてから比較的短時間で発見・救助が可能だと思います。

問題は検知方法です。水を流したことを検出するためには、流量センサを水道管に取り付けなくてはなりません。水道管を切って流量センサを間に挟むのは大工事です。幸い水道管の上から取り付けられる、クランプオン式の流量センサがあるので、こういった製品を使うが便利だと思います。

このキーエンスのクランプオン式流量センサーのデータシートを見たところ、流量をパルスやアナログ出力したり、設定した閾値の範囲でデジタル出力をON/OFFさせる機能があるそうなので、そのデータを読み取って処理させれば作れそうです。

今回作成するもの

今回は実験なので、家に転がっているもので作ることにしました。センサーは、赤外線で人の動きを検知する「人感センサー」(PIRセンサー)を使用します。防犯ライトとかに使われてるアレです。人が動くとパルス信号が出力されます。

コントローラーはラズパイです。人感センサーが何回反応したかをプログラムでカウントし、1時間ごとに反応回数をサーバーに送信します。サーバー側では、過去の同じ時間帯の反応回数と比べて、極端に反応回数が低かった場合、メールで安否異常アラートを出します。

通信部分はモバイルルーターを使用しました。本当はラズパイ用のLTEモジュールなどを使いたかったのですが、なにしろ高いのと、LTEモジュールと通信するためのプログラムを書かないといけないのが面倒でした。モバイルルーターならWiFiでネットワークに繋がっているので、httpでRESTアクセスするだけでデータを送信できて楽です。

今回はイオシスで3980円で買ったFREETELのARIA2に、余ってた格安SIM(LINEモバイル)を入れてみました。実際に送信するデータ量は1時間に1KB程度に満たないので、安いプランで十分です。ロケットモバイルの神プランは月額298円(税別)で下り最大200Kbpsの使えるので、今後はこちらを使おうと思ってます。

完成図

とりあえず動けばOK的な感じで、プログラム含めて3時間くらいで作ってみました。気になるところは、ルーターが365日24時間正常に稼働してくれるかどうかですね。

ルーターの設定でも、通信が無いときに自動OFFする省電力設定があったので、省電力設定を無効にしました。ラズパイの方からも、crontabで5分おきにダミーのhttp通信を行うようにして、接続が切られないようなおまじないを入れてみました。

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