USB Type CのPDでMacBook Proを充電できる、cheeroのPower Plus 5 Premium 20000mAhを買いました。最大出力60Wとハイパワー出力が可能なモバイルバッテリーです。といっても普段はiPhone 11を充電するのがメインです。この製品を選んだもう一つの理由がデジタル残容量インジケーター。1%刻みで表示されるのは便利だと思いました(買う前の感想です)。
iPhoneを充電してみて…
バッテリー残量が70%くらいのiPhone 11を充電したところ、モバイルバッテリーの残量が100%→75%に減っていました。25%減ったということは単純計算で5000mAhもiPhoneにされたのでしょうか。iPhoneを30%充電するだけなのに変だな…。
翌朝バッテリー残量が 1% に!?
何もしてないのに、モバイルバッテリーの残量が75%→1%になっていました。もちろんiPhoneは外してあるので充電されるはずがありません。どうしてLightningケーブルしかささってないのに、バッテリーが勝手に減ってしまったのでしょうか?
Amazonのレビューを見ていたら、USB Cポートにケーブルを接続していると放電してしまうらしいです。まぁたしかに微弱な電流くらいは流れるでしょう。でも翌朝1%ってさすがに落ちすぎでは!?
バッテリー容量を測定してみた
Lightningケーブルを接続しているとどのくらい放電してしまうのかを測定することにしました。
使用したのはこちらのUSB電子負荷装置。5Vの定電流を流すことができ、付属のディスプレイに電力量(Wh)を表示できるのがポイントです。
よくあるUSBメーターだとmAh表示の場合が多いのですが、電圧が固定でない場合、mAhで比較してもあまり意味がありません。ですので Wh で比較することにしました。
測定方法
今回は満充電後、何も接続しない状態で2日間放置し、5V 2Aの負荷をかけた状態で電力量(Wh)を測定。続いてLightningケーブルを接続した状態で同様の測定を行いました。この2つの値を比較すれば、Lightningケーブル接続時に放電した容量がわかるはずです。ついでに満充電直後の容量も測定してみました。
測定結果
満充電直後の容量 | 52.3 Wh |
ケーブル接続なし 2日間放置後 | 51.5 Wh |
Lightningケーブル接続時 2日放置後 | 15.8 Wh |
まじか!
【結論】ケーブル差しっぱなしはダメ!
なかなか衝撃的な結果になりました。2日間Lightningケーブルを接続していると、51.5 Wh→15.8 Whまで減ってしまうことがわかりました。2日間で35.7Whも放電してしまったのです。
満充電直後の容量と比較すると、ケーブル接続なしなら 98.5% を維持しており、自然放電では 1.5% しか失われていません。ところがLightningケーブルを差しっぱなしだと30%となり、70%も失われてしまいました。
(52.3 Wh – 15.8 Wh) / 48 h / 5 V = 0.152 A
Lightningケーブルがささっていると 152mA も食うのか!?
試しにLightningケーブルの手前にUSBメーターを入れてみたところ、ケーブルに流れる電流値は7〜10mA(測定限界以下)でした。ということはケーブルではなく、モバイルバッテリーの本体内で消費しているのだと思います。
ところで公称値20000mAhあるなら理論上 20 * 3.7 = 74Wh で、満充電の結果の 52.3 Wh ってずいぶん少ないような…。もちろん簡易的なメーターなので、そもそも測定値が正確ではないですが、52.3 Wh (14135 mAh相当) というのは少ない気もします。
他のモバイルバッテリーでも試してみた
他社のモバイルバッテリーではどうか、ということでAnkerの PowerCore 10000 PD でも同様の実験をしてみました。こちらは買ってからだいぶ使用しているので(50回くらい)バッテリーは少し消耗していると思います。
ケーブル接続なし 2日間放置後 | 29.9 Wh |
Lightningケーブル接続時 2日放置後 | 18.0 Wh |
他のメーカーでもLightningケーブルを差しっぱなしにしていると、大きく減ってしまうことがわかりました。とはいえ (29.9 Wh – 18 Wh) / 48 h / 5 V = 0.050 mA とcheeroよりかなり少ないです。
やっぱり少ない
公称値 10000mAh (Anker)で実測値約 30Wh なのに、公称値 20000mAh (cheero)で実測値約 52Wh ってやっぱ少ないですよね。
残量表示の善し悪し
残量表示は一見便利そうですが、実際に使ってみると、あまりあてにならないことがわかりました。残量1%になっても長い間1%表示のまま出力していたので、どうもあまり正確ではないようです。商品説明には「本体の残量を正確に把握したい!というきっちりした性格の方にピッタリです。」とありましたが、”きっちりした性格の人”は気になって仕方ないかもしれませんね。(笑)
そこそこ
ちょっと使い方に気をつけなくてはいけなかったり、容量が期待より少ないということはありますが、cheeroとAnkerは安全性が高い(と私は思ってる)メーカーですし、値段もお手頃で使いやすいので、そこそこ便利に使えるんじゃないかと思います。まだMacBook Proで使ったことはないですけど、モバイルバッテリーでノートパソコンが充電できるというのは、昔から考えたら夢のようです。